フリーメイソンⅢ
さて、この食卓の献立だが、秘密結社フリーメイソンの方々がどんな物を食べられているか興味を持たれる方もおいでだろう。
メンバー オンリーの建物の中に食卓があり、給仕が居り、メニューがあった。
本日のランチメニューは2択。スープとチーズを乗せた魚のフライか、もしくは豚肉のソテーに炊いたレンコンを合わせたものと白米のどちらかを選ぶことができる。新鮮な食材を、豪華な料理をふんだんに使い、私なぞめったに口にできない物がでてくるとばかり思っていたが、肩透かしであった。結構普通の物だったのである。決して豪華な物ではなく、バランスのとれた体に良いものが出てきたのが、逆に印象に残るほどだった。
ただ、後者の「豚肉のソテーにレンコンを炊いた物などを合わせた物と白米」
を選んだ私にもなぜかパンとバターが付いてきた。
「これは機内食か!」と突っ込みたかったが、やめておいた。
「も、申し訳ありません」と給仕が謝った。「この食材は、私は食べられないから入れないでくれと言っておいただろう。」
こちらを振り返って彼は 「私は痛風なんだよ。」と言った。
私の翻訳に時間がかかったので、タイミングを外して、お客様が言った。
「それは、さぞ痛いんでしょうね。今回お客様がお持ちした海苔の佃煮は痛風に良い食べ物ですよ。是非御賞味ください」
「それはそれは、嬉しい事だ」と嬉しそうに笑う。
西洋人の特色である喜怒哀楽がしっかりと表情にでる。結局彼は皿を取り換えるでもなく、残してデザートに移った。私の客がトイレに行った隙に、質問した。
「絵の展示会の話なんですが、この場所をお借りする事はできないものでしょうか?」
「それは、無理ですな、お分かりになると思いますがここに関係のない者たちを入れる訳にもいかんでしょうから」
即答された。
実は私の御客は東京銀座でギャラリーを経営していて、海外でもよく展示会を開いているのだが、来年香港で絵の展示会を開く予定なのだ。その場所を探す為に本日は同行したのであった。
「申し訳ありません。そうですよね。」と私はすぐに引き下がった。
まさか、絵の展示場所を探す為にやってきたホールがフリーメイソンのロッジだったとは、私も夢にも思わなかった。食事が終わり、ホールの外を出ると彼は絵の展示会が上手く行く事を心から願うと言ってくれた。また、絵には保険をかけた方が良いとアドバイスもしてくれた。
そして、今回はお客に友人だと紹介されたが、君は一体どういった仕事をされているのか?と尋ねられた。
「ただのガイドを兼ねたアテンド業ですよ。」
私はそう答えると、人の知らない事を案内して、楽しませる事ができる人はそういやしない。欧米ではスキルが高くないとできないよ。と、持ちあげてくれた。
「それじゃあ また」と我々の為にタクシーを泊めて見送ってくださった。
彼は、自分の家はこの近所だから健康の為にも歩いていくからと言ってホールの前でお別れした。その日の夜に食事のお礼をe-mailで送った。そして彼から返信がきた。顧客の展示会が上手くいく事を願う内容と、
「世界は小さい,そして新しい友人達はいつでもウェルカムだ。未来でまた会お
う。」と括られていた。
果たして私は世界的な秘密結社の一員になれる日はやって来るのだろうか。
(俗説によると、二人以上のメンバーからの推薦があり、大きな事を成し遂げないとメンバーの一員に迎えてもらえないらしい)
後に再び会うことになるのだが、このフリーメイソンのメンバーになる為の一文を尋ねてみたが、否定されなかった。また、ものすごく本を読まねばならない。
自身がフリーメイソンのメンバーだと他人にひけらかせてはいけないとも教えて頂けた。