フリーメイソンⅡ

ここは、メンバーオンリーの館の中。

我々が楽しく食事をしていると 他の食卓を囲っていた男が近づいてきた。

我々の事をチラ見してから、この場に招いてくださった方に仲良さげに話しかけてきた。

 

「やぁ、元気か?」

「ああ もう、帰るのかい?」

「ちょっと用事ができたんでね。それにしても香港も寒くなってきたね」

 と他愛のない事をしゃべっていたかと思うと、我々のテーブルについていた方が、近づいてきた男に何やら手の平の中に掴めとばかりに小さな物を手渡した。それは、なんだったかは、手のひらで隠されて私からは目視では判別できなかった。

 

「ありがとう」

 ちょっと間を置いて男は言った。

 すると、男は私からも小さなギフトがあると、ポケットから子供のコブシ大の物を取り出し我々の食卓の上に置いた。

 

「インド土産だ。」

 

それは包みに隠されて何かは分からなかったが、話の内容からすると、食べ物か調味料のようだった。そして、彼は我々に会釈をするとこのHALLから立ち去っていった。

 

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私は興味があったが、男に何を手渡したのかなぞ、到底聞けなかった。すると、突然私の御客が あ、そうだ とばかりに我々からもお土産があると鞄の中から取り出した。

 「ほう、なんだいこれは?」

 海苔の佃煮って英語でなんと言えばいいのかとお客に尋ねられ、海苔は「Sea weed」だと私は答えたが、海草だとワカメにもなるかな と思った。佃煮は、その場でスマホで翻訳検索をして回答した。浅草の高級な海苔の佃煮やら、サーモンの身をほぐした物など高級店で購入してきたと思わしき物を渡すと、日本好きの彼はたいそう喜んでくれた。

 それから話は彼が毎週観ている日本のTV番組の話になったり、なんでも結婚して関西に嫁いで、日本の中でも文化の違いが面白おかしく描かれている番組だとかで、翻訳されているのかタイトルはGOCHISOUSAMAと言うらしい。)

 

彼のファミリーの写真を見せて頂いたり、神戸には恋人の橋(縁結び?)があるのを御存じか?といった話で盛り上がった。中でも、昔の話になった時に「おいおい、一体君はいくつなんだい?それは君の御両親の話かい?」と尋ねられ、私の年齢を答えると「そんな馬鹿な!」と一瞬フリーズされたのが、印象的だった。

 

「西洋人からみれば日本人はとても若くみられますからね。」

 いくら彼が日本好きでもアジア人の年齢は想像できなかったらしい。しかし、こうして喜んだところで通常の生活では 既に香港人の若い友人達にはしっかりとおっさん扱いされている。フリーメイソンのメンバーにこんな事で「勝った」という気持ちになれるのが、やはり中身はまだまだ子供という事なのか?こんな事では私は本当の成熟した大人になる前に寿命が尽きてしまう。

 

さて、年齢の話になってからは彼の持病である痛風の話になった。

彼はあれが食べられないこれが駄目だという。