和牛と神戸牛
香港人の友人たちと食事に行った時の事だ。
「TAKUYA、和牛と神戸牛 どちらが美味しいんだい?」
と尋ねられた。私は少し間をおいて、つい爆笑してしまった。その場に居た香港人は皆ポカーンだ。何故ひとり私が笑ってるかわからない。
「パスタとスパゲティどっちが美味しいんだい」とイタリア人に尋ねるのと同じだよ。和牛は日本の牛肉の総称で、神戸牛は品種なんだ」
と答えた。すると、
「じゃあTAKUYAがいつもよく行く吉野家の肉は、和牛なんだね。だって日本NO.1牛肉飯と看板にあるもんね」
と言われてしまった。
もちろん 答えはNOなのだが、私には何も答えられなかった。
日本で一番の人気を誇る牛丼店が、日本の肉を使っていない…。
日本の肉(和牛)は美味しいと ことさら自慢しておきながら、
一番の人気の牛丼店の肉は日本の肉を使っていないなんて 何故かその事実を隠ぺいしてしまった。
その私が大好きな吉野家も90年代後半香港に出店してきた当時、喜んで行ったらまるでロウソクのロウを食べているみたいに口にネチャネチャして食べれられる代物ではなかった。実は当時は安い水牛の肉を使っていたそうだ。
松坂牛、佐賀牛、米沢牛、飛騨牛と日本の牛肉は品種はたくさんあるが、その中でも神戸牛は日本の世界的ブランドだ。もちろんここ香港でも日本の牛肉といえば、神戸牛が一番有名だ。
しかし、このところ、佐賀牛がかなり追い上げてきている。これは、元香港総領事が佐賀出身だったことから県職員がコネクションを使い高級ホテルへの攻略が成功したからだと言われている。どうやら香港人もサシが入った日本の牛肉の美味しさに気がついてきたようだ。
(海外で有名なブランドである神戸牛)
ところが、香港のお隣は中国深圳でのお話だ。偶然ではあるが、現在私の従兄弟が深圳の蛇口に住んでいる。その従兄弟が先日和食屋に行き、メニューを見ると「和牛 霜降り肉あります。」とあった。お、これは美味そうだと思い、いざ注文してみると全くサシの入っていない赤身の牛肉がでてきた。それも解凍もちゃんとされず凍ったままだ。これではあんまりだという事で、私の従兄弟は店主を呼んだ。
「これのどこが霜降り肉なんだ、しかもまだ凍ったままだよ」
すると、店主はきょとんとした顔でこう答えた。
「ええ、旦那 ちゃんと凍らせていますよ。」
どうやら、中国人の店主は霜降り肉を霜が積もったような凍らせた状態の肉と思い違いしていたらしい。日本人や韓国人は、生肉や生魚を食べるんでしょうと思う中国人。笑い話のような本当にあった話である。
(日本にはない吉野家の面白いメニュー)