民主化デモ(3)
政府の建物がある金鐘(アドミナリティー)へ続く幹線道路。
いつもならひっきりなしで車が通っているので、危なくて入れない。
しかし、今はバリケードがあるので、車は入ってこれない。トラム
と呼ばれるチンチン電車も線路だけが残されている。
ポツ ポツ とまばらに人影が見える。夜になるとまたデモで人ご
みの渦ができる場所だ。いくつかのテントも見える。
道路のど真ん中で、仰向けに寝転んでいる人。何を思っているのだ
ろう。
大きな荷物を台車でひいて幹線道路を横切ろうとしている老人。道
路の柵のところで台車が持ちあがらないので、助けてあげた。にっ
こりと礼を言い去っていく。
バリケードを動かして、消防署に消防車が入っていく。
中年夫婦の西洋人も歩いている。どうやら今の香港を覗こうと観光
しにきたようだ。
デモを起こしている若者であろう。柵の向こう側の中年男性と小競
り合いとなり始めた。中年男性が罵倒する。そして、何度もこちら
側につばを吐きかける。
若者は柵を乗り越え 中年男性を追う。
取っ組み合いになる間際、仲裁に入る人。
別の若者が加勢に入ろうと凄い剣幕でこちらに走りこんで来る。そ
して俺に今にも掴みかかりそうになった。
俺が、柵の向こう側で喧嘩する若者と中年男性を指さすと思いっき
り人違いだと分かったらしく、柵の向こうへ駆けて行った。
デモと警官の対立がクローズアップされるが、デモ側と反デモ側の
市民の対立も相当激化している。デモのせいで迷惑をこうむってい
る人たちもかなりいるのだ。だからといって、香港人として、この
ままどちらも共産党に支配されたい訳ではない。
香港がイギリスからこのまま50年は現状の制度のままという約束
で返還されて17年。丁度俺が香港に渡った歳だ。あと、33年。しか
し共産党は我慢できずに香港の政府を操ろうとしている。
17年前 返還の時 今の大学生は3、4歳の幼児だったが、その時
の若者たちは、香港が本土に返還されると香港は変わると言って、
カナダ、アメリカ、オーストラリアの大学へ留学と称して逃げ出し
た。そして、永久ビザ取得しようとした。
返還後、香港が何も変わらないとわかると、英語が堪能なって若者
がどんどんと香港に戻ってきた。このまま若者や市民たちのデモが
潰されてしまうなら、またたくさんの香港市民は海外に逃げ出す事
になるのだろう。ただ、17年前に比べて今は外国でのビザを取るの
が困難になっている。
金融都市である香港の立場や値上がり続けた不動産は、今後どうなっ
ていくのであろうか。