MTR
もう11時過ぎだというのにMTRの駅の構内は人でごったがえしている。
みんな何をやって生計をたてているのか、平日のこんな時間でも香港の街中はたくさんの人だ。
しかし、今日も蒸し暑い。
駅構内で、おばちゃんたちが、改札にチケットを通すやり方が分からずに
まごまごして通行の妨げとなっている。
私は一度は通り過ぎたが、『くそっ』っと呟きながらUターンした。
おばちゃんの肩をトントンと突いて、ここだと 改札のチケットの通し口を教える。
しかし、チケットの入れる方向が逆で入らない。
いらいらしながら チケットが逆向きだとジェスチャーで伝え、なんとかチケットを改札機に通す。
おいおい 今度は出てきたチケットを取らずにそのまま通り過ぎようとするのではないか。チケットを改札機から取るように促し、ようやくおばちゃんは駅構内に入ることができた。
メインランド(中国大陸)からやってきた観光客だろう。
広東語でなく、普通語で謝謝(シェーシェー)とお礼を言われた。
礼には礼をと、改札を通り過ぎたおばちゃんに顔を向けて笑顔で返しながら
いいえ、なんでもない事ですよと手をふってみせる。そして一歩前に踏み出す。
すると私の愚足が目の前にいた美人のお姉さんの御御足(おみあし)を踏んづけてしまっているではないか。
今日の私は香港美人に睨まれながらの出勤である。
今日の私は香港美人に睨まれながらの出勤である。
お昼前に尖沙咀東(チムトン)にあるお客さんの宿泊される日航酒店で待ち合わせだ。
地下鉄に乗り込むとこんな時間なのにすでにもう人はいっぱいだ。
メガネをかけた若い奴らがスマホをいじくっている。
おじいちゃんが、若い事アピールしてかリュックをかけて電車の中で背筋伸ばして立っている。
出入口付近では不細工なカップルが抱き合いながら音を鳴らして何度もキスをしているし、この雑多な雰囲気が香港の一面であろう。
尖沙咀(チムサーチョイ)の駅の改札をオクトパスですり抜け、尖沙咀東へ地下通路にある動く歩道を使って通り抜ける。
地上から行くと人ゴミの中を歩かないといけないので、歩きやすい地下を使う。
私が香港に来た当時はこんな便利な地下通路はなかったし、もっと昔は尖沙咀東自体が埋め立てられた土地だった。今でも建設ラッシュが続く香港、これからも どんどんと変貌を遂げるだろう。
さて、尖沙咀東にある日航酒店に着くと、
果たして、今日のお客様にはいったいどのような香港という街が待っているのだろう。